冬月希和

2021 / 07 / 13 冬月希和 冬月 希和

「訪問化粧品の方が来るから帰るわね」

 

私が小さい頃　一番若い叔母がそう言って遊んでいる途中なのに帰ってしまう事がよくあった。

親類の中で一番綺麗な叔母であり私の大好きな人。

 

社会人になる時も、これがいいわよとアドバイスをしてくれた人である。

 

化粧品が好きな人で熱心なのに、がむしゃらがなく上品な人だった。

 

ある時その訪問の人が来る日に偶然居合わせた事があり私は驚いたのだ。

 

なんと　男の人⁉️

 

１０数年、勝手に化粧品訪問は女性が来るものだと思っていたからだ。

 

綺麗を受け取る叔母は何だかとっても優雅で透明で何より美しかったのを覚えている。

 

時々綺麗を持ってやって来る男性に、変な意味ではなく心をときめかせていたに違いない。

この化粧品で自分が綺麗になる確信。
そして、その人から直接綺麗を手渡される事へのときめきだったのか。

 

現代は何でも宅配してくれる時代。
私は訪問で買った事は1度もないが、綺麗の気持を人が一緒に持ってきてくれるシステムは体験した人でなければ、わからないのかもと思った。

 

生涯独身だった叔母は既に他界しているが
当時の叔母の年齢を越えた今なら、色んな話が出来たのに、と
時々残念になる…🌠